2017年03月02日

夢の計画




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 久方ぶりの更新です。かにた婦人の村の居住棟他建物の多くは、昭和40年の開設時のものを、途中大規模修繕はしておりますが、使い続けております。当時の居住施設の設置最低基準は一人当たり3.3uと狭いもので、限られた財源でしたので、その最低基準で建てており、物理的には、生活しにくい居住環境です。その分豊かな自然環境が補ってきた面があり、それほど入所者が不満を感じている訳ではないのですが、52年経ち、使用の限界です。全国各地の婦人保護施設が建替えられている中、かにたも法人内の検討委員会で、どのように施設を整備するか2年間検討してきました。

 この度、大体のイメージが固まり、写真のように模型化してみました。現在駐車場用地として使用している蟹田川河畔の敷地に、60名入所できる3階建の施設を建て、そこに風呂、食堂、医務室を集約します。引っ越しが終わったら、入浴棟、旧生活寮、食道を撤去し、20名が生活できる自立生活訓練棟を建て、地域生活移行への自立訓練段階の入所者に、グループホームのようなスタイルで生活して頂く棟とする予定です。

 現高齢者棟ユッカ寮も引き続き活用して、最大100名の方を、今まで通りお預かりできるようにしたいと考えております。
 また、性暴力等で深刻な心理的被害を受けた女性の中長期の支援の場として、食堂跡地に、別の建物を建てて、そのような女性が被害を回復して行けるような支援を提供する機能を、将来的に備えて行く構想も持っております。写真の左上の建物です。

 平成26年に、広島市の山裾地である安佐南区で発生した土砂災害を機に、国土交通省の調査があり、当施設も大雨時の危険地域に指定されました。そういう経緯で、建て替えが必至であることについては、国や都道府県の理解を頂き、相談をしているところですが、昔のような潤沢な国庫補助金の仕組みが無く、寄附のお願い等による自主財源の確保が大きな課題となります。入所者の安全・安心な環境作りのためには、建て替えは必ずやり遂げなけらばならない大仕事です。神様のご加護をお祈りしつつ、職員・利用者一同実現に向けて努力したいと思います。



posted by かにた婦人の村 at 19:33| Comment(0) | 告知

2017年01月11日

本年もよろしくお願いします

おそくなりましたが、新年あけましておめでとうございます。
昨年は、3人の高齢の入所者を天国にお見送りし、2人の新しい村人をお迎えしました。

お二人とも、50代で軽度の知的障害がありますが、今までは何とか自力で生活して来た方です。
軽度の知的障害の方は、読み書きが普通に出来たり、会話も当たり前にできていたりするので、
普通の人が接していても分らないことが多いと思います。

でもご本人は、結構無理して、苦労しながら生活されています。
それが当たり前だと思っているので、苦痛は感じていません。
働く場所と住処があれば、低収入でも何とか生活できますが、どちらかが、何らかの理由で
欠けると、とたんにどうしたら良いか分らなくなります。

家族のサポートがしっかりしていれば、本来児童の時期に障害に対するサポートがされる
のですが、家族自体が福祉サービスの知識を持っていなかったり、親にも障害があって
理解力がなかったりすると、福祉との関わりが無く、でも何とか自力で生活しておられる
方も少なからずいるのではと想像されます。

突然自立が阻害され、心にも傷を負って、施設に入所されることになります。
まずは、疲れた体を休め、安心安全な環境で力を溜め、福祉サービスへのアクセスが
可能なように環境を整え、地域での再生活に向けて支援する。
現在の婦人保護施設が担っている役割だと考えます。
皆さまのご理解とお支えのなかで、今年も入所者、スタッフ一同頑張ります。

posted by かにた婦人の村 at 12:19| Comment(0) | 日記

2016年11月29日

歯医者に行けたよ!

 更新がしばらく途絶えました。トランプ大統の誕生、朴大統領の弾劾要求など、世界中で政権交代の嵐が吹き荒れ、年が明けると欧州が選挙イヤーにあたり、ますます混迷することが予想されます。グローバル化という名の経済優先の政治的均質化がもたらした弊害である格差社会対する、人々の反発による政治の揺り戻しが、極端な悪い形で現れていることに、大きな不安を感じざるを得ません。歴史を振り返れば、資本主義社会の誕生以来、繰り返してきたことです。過去の大きな戦争は、常にこのような極端な揺り戻しの過程でに伴って起こっており、今度大きな戦争が起これば、核兵器の使用という我々の世界を不可逆的に破壊しかねない極めて重大な危険を孕んでいます。ここまでくると、資本主義経済のあり方そのものが限界に来ており、新しいパラダイムでの世界秩序の構築しか、人類社会が存続して行く道が無いように思えます。

 私は、そこで中心になって行くべきパラダイム転換は、「競争から共生」へということに尽きると思います。特に「人々の健康の保障」が、政治の中心になっていかなければなりません。人々の自由な経済活動が引き続き保証されるべきだとは思います。ある程度の競い合いも、技術や製品を高めて行くために欠かせません。よって、成功と失敗もありです。結果、経済格差が生じることも仕方ありません。しかし、人々の健康に格差が生じないように、政治が配慮し、失敗した人にも健康な生活が保証されるべきです。人は健康でさえあれば、何度でもチャレンジすることが可能です。競争に乗りたくない人、競争に負けた人、再チャレンジしたい人、全ての人が健康に生活できる医療や、社会保障の仕組みを維持することで、潜在的な優秀人材が確保され、社会の持続が可能になって行くと思うのです。尚、健康というのは相対的な人の状態であり、絶対的な尺度はありません、「その人にとっての健康」は一人ひとり違います。障がいのある人の健康が当然あります。難病の人の健康だってあるはずです。一人ひとりの体の状態が、与えられた条件の中で「ベスト」であることを目指す、その目指されるものが「健康」だと思うのです。

 さて、歯医者さんの話です。入所以来一度も、多分生まれて一回も歯医者で治療を受けたことのない入所者の方がありました。歯医者に連れて行ってもぎゅっと口を閉めて強張ってしまうので、歯医者さんからは「この人は治療ができません。できない人です。」と言われ、診てもらえないのです。当然虫歯になり、歯痛で涙をポロポロ流すことになるのですが、それでも絶対に口は開けません。
担当職員はなんとか治療して、痛みから解放してあげたい一心で、通院に付き添い、お医者さんにどういう人か丁寧に説明し、なんとか治療してあげて欲しいとお願いしました。
 歯医者さんがえらかった。「じゃあ、今日は見るだけの日にしますから、口をあける練習だけしましょう」と、その日は口を開ける練習だけして下さったそうです。最近その方と話す機会があり、話を聴いたところ「おにいちゃん、わたし、歯医者に通ってるよ」とニコニコしながら報告してくださいました。「へえ、そりゃすごいね。どんな治療をしているの?」「ちいさいやすりみたいなのを回して歯を削るんだよ」と説明して下さいました。

 おそらく貧困の中で育ったこの方は、歯医者なんて生育過程で縁がなかったでしょう。イメージの中だけで、歯医者は痛い、怖いと思い込んでいたと思います。家族がいれば、歯医者に通い、家族が励ましながら治療に送り出すなんてことは普通の光景ですが、彼女はそういう経験を積めなかった。歯医者さんがその辺をきっちり認識して下さり、「少しずつ慣れる」という治療を提示して下さった。その配慮により、彼女は健常な方と同じレベルの治療をちゃんと受けられるようになった。何より「歯医者にかよってるんよ、わたし」と話しかけてくる笑顔に、私自身も大変嬉しい思いをしました。ハンディを持った人たちは、このように私たちの気が付かないところで、「健康格差」の影響を受けています。縮小するためには、支援者や医療者による所謂「合理的配慮」が欠かせません。誰でも笑顔で健康に暮らせる社会、私たちは、そういう社会を目指して行きたいものです。
posted by かにた婦人の村 at 17:39| Comment(0) | 日記